shilog

ログです。

夏は暑いなあ。それを言うなら夏は暑いでんがな。

暑いと人は一般的に活動による発熱を抑える事により体力消費を抑える、つまりぐだーっとしてだらーっとしたり、水の凝固点以下の低音食物を摂取して体温を下げる事により活動意欲を維持しようとしたり、あろう事か発情期に突入して大量の熱気を周囲にばら撒きそれにより安定した体温におちついたり、時によっては逆により活動的に行動する事により何処かのネジが弾け飛んじゃって色々な揉め事だとか事件だとかが起きるわけです。
最近の研究や憶測、TV等でよく聞く思いつきコメントに拠ればこのような事件は格差社会における若年層の不満感の高まりと地球温暖化による生物生息域の変動と原油高騰、食糧不足による市民生活の困窮が原因だそうですからその辺に文句言っとけば暑くなくなるかもしれないので一言言っておく。俺は立ち上がり、信念に満ちた目で、強く握られた拳で、醜く積み重ねられた腹の脂肪で、それらすべてに己の主張を載せて言う。「おいお前らバルス!」しかし握り締めた飛行石こと潰した金麦の青い空き缶は何の光も放たず傍らでは扇風機がその職務を忠実に守りひたすら中程度の風を前方にそよと流すのみ。虚空。
ああ、正当な後継者の手によらなければこの呪文などただのネット用語的な笑いの表現だと自分の無力と昨日の残りのゲソを噛み締めながら扇風機の側に座り「俺の気持ちを解ってくれるのはお前だけだ。」扇風機の頭の後ろに手を回し顔を少し寄せる。手の筋肉を極限まで弛緩させ、出来る限りの優しさ頭をなでてやるとカチッと音を立てて首を横に降り始めた。「お前、ブルガリア出身?」やはりこの程度の機会に人の気持ちなんて。いや、俺自身こいつの気持ちの事なんて考えた事も無かったな。寂しいのはこいつも同じかもしれんな。明日はホームセンターへ行こう。そして小型の換気扇を買ってきてやろう。多分性質は真逆だけどそのほうが上手くいくものだからな。趣味は合うんじゃないかな。吸い込むゴミだとか離れない汚れだとかで話題は尽きまい。良い考えじゃないか。

良い考えが浮かんだので今日は良い気分で眠れそうだ。眠れそうだが。暑い。バルス。むしろバルス俺。俺、崩壊俺。永遠の夢へ俺。俺安らぎ。幸俺福。崩壊の俺は油絵の具が混ざり合ったような姿に。おそらく大きな絵の具チューブに吸い込まれて、明日押し出せば人の形。


暗転。幕。