shilog

ログです。

晩飯に天ぷらうどんを食す。
海老の前進より後退に適している形を人間の我が身から考えるとある種不条理な形を見ながら「前向き」と言う言葉の意味を考え直す。海老にとって後方跳躍を行うのは前方に捕食者等の危険を確認した時だろう。つまり逃げ出したわけだ。臆病?自然界の掟のまえでは逃げるのが当然?
どちらも否。奴の目を見ろ。奴の目は一心に前を見ている。恐らくその視界に自らの生命を寸断する存在を、その黒目がちと言うにはあまりにも黒い目で捉えているのだ。白目は無いよな。そしてそのまま海老は、正面の敵を両の目で捉えて目を離さず、その間にもキチン質に満たされたその体で最大限の運動エネルギーを貯蔵しているのだ。捕食者が海老に向かい、その細い体をひねり、その曲がった背を今こそ直線へと。
そして海老は飛ぶ。後方に。大きく跳ね上がり、真っ直ぐなほど真っ直ぐに。しかしその目は進行方向の逆を剥いているのだ。生きるため。あらゆる危険を見落とさぬため。真っ直ぐに強い意志で前方を見詰めながら、体は後方へと、危険の無い方向へと進んでゆく。
生きる位置に満ちた素晴らしい後退とは言えないか。

さて、烏賊の生き方を知ってしまった俺としては、今後どのように前向きに生きていけばいいのだろうか。おもに仕事などに対してあまり前向きでない自分は海老に倣って高速でうしろに飛び跳ねる事により前向きと称して生きてみるか。