shilog

ログです。

そろそろトップ絵換えよかなあ

悪童日記読了。

第二次大戦末期の東欧らしき地で<小さな町>に疎開した双子の少年。付近の住民に「魔女」と呼ばれるような祖母に預かられて暮らす。双子は老祖母の仕事を手伝いながら生活する術を身につける。社会情勢は過酷で、様々な困難が日々2人の周囲から隙を狙っている。そこで彼らは、外からの様々な干渉から身を守るため「練習」を行う。お互いをベルトで叩きあい痛みに耐える練習を行い、痛みを感じる存在を自分の外に追いやる。生き物を殺すのが厭だから練習して殺す事に慣れる。しかしこの双子はただ粗暴なわけではない。勉強をする。作文をする。作文にはルールがある。感情表現を避け、事実のみを記述する。この物語は双子が書いた日記という体裁で書かれているので、前編にわたって筆者である双子の感情の動きは見えてこない。時に、双子は人を傷つけるが、そこに感情に対する記述は伴わない。人を傷つけている人間の動機が見えないと言う状況は読者を大きく当惑させる。またある時は倒れた魔女の看病を献身的に行う。そこにも感情は記されない。魔女が双子にとって看病するべき相手だから、なのだろう。何を思っているのか。双子は、ただ自分たちで定めたルールに忠実なだけだ。それは時に暴力的で、時に反社会的だが、時に献身的だ。自らのルールにより外界からの干渉を完全に退ける。外界からの干渉を拒絶するわけではない。すべてそのまま弾き返すだけの力をかれらは手に入れているのだ。混じり物の無い一個の磨き上げられた石。このゆるぎない強さは無垢というしかないのだろうか。


で、面白く読んだ後でこれが3部作だと知る。テンション上がってたから即アマゾン。

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

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ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

え、2巻の主人公(双子の片割れ)リュカ?
じゃあ3巻の主人公は当然? クラウス?
ああ、元ネタってのは思わぬところにあるものだなあ。