shilog

ログです。

第9地区がどうも気になってて月曜から映画ってのも集中力的にどうだとか思ったりでももうすぐ終わるし月曜メンズデー1000円だしとか迷って結局観に行くことにした。

観て良かった。これは映画館で見る価値があった。

南ア、ヨハネスブルグ上空にある日突然滞留した巨大宇宙船。相手側からは何のアプローチも無いので扉をこじ開けてみると船室に大量に詰まっている栄養失調の異星人。どう見ても母星ルール的には人を無価値として放りだしたイメージ(俺の勝手なイメージ)。見ちまったものは仕方ないので第9地区という居住区を作り異星人自治区として隔離する。見た目がエビっぽいからという理由でエビ(prawn)と呼ばれるようになる。身も蓋も無い。
それから28年ほど。すっかりスラムと化した第9地区。周辺の人間住民との軋轢も大きいので新たに第10地区を作り移動させようとするが…。


アパルトヘイトなテイストの風刺がベースとしてはあるものの社会派方面に重きを置いてる訳では無くあくまでアクションとして楽しませる感じ。一方でベースとしてのメッセージ性もそれはそれで効いているのでちょっとした説得力を梅ふりかけ。最初に異星人の醜さを観客に見せておいてそれに当然の治安活動として対処するMNU(人類側企業)側に客の視点を移動した所でMNUがふりかざす自分たちのルールの傲慢さ、無自覚な残酷さを照らすのも忘れない。そんななかで出てくる知性あるエビの親子。客の気持ちの持って生き方がうまい。その後次第に立場を変えていくことを余儀なくされる我らが小市民代表の巻き込まれ主人公。知性をもったエビ親子との共闘関係。自分たちの行動への罪悪感。でもやっぱり元に戻りたいエゴ丸出しヒット。でもその後色々なけなしの勇気をはたいてとった英雄的行動は大したもんだよ、小物にしちゃ十分な働きで称賛に値するさ。だけどその戦闘の中で死んだ軍人(民間傭兵?)たちの罪は何?この映画は双方を正義にも悪にも認定してくれない。生まれた星も食ってきた食事も猫缶以外は違う生き物同士を何か共通な倫理観で裁くなど出来る訳も無い。しようとする事自体がおかしい。

最後に主人公と約束をするクリストファー(白人名、って事?)。彼らにとっての約束という言葉の重さは地球人にはまだ解らない。どうするんだろうね。


まー面白かったですよ。
異星人とのコミュニケーションとか(いや、コミュニケーションは無いな。主人公はエビの生態には全く興味も無いしエビも主人公から何か得ようともしない)見た目アレなクリーチャーなんだけどやたら可愛い子エイリアンとか(やはりピータージャクソンはHaloを作るべきだ。大量のグラントに萌え死ぬ自信がある。)人が装着するタイプのパワードスーツバトル(ああいうのはエビでもやはり自分に似せてつくるんだな。装着する事で身も心もエビ化のメタファーも熱い。撃たれた銃弾を手の前に力場作ってダンゴ上にしてからパーン!がすばらしい)とかそういうのが好きな人にはたまらない映画。
もっと尻切れトンボに終わってB級好きだけの心に残る映画になるかと思ったがそういうレベルでは無さげ。


結局あの液何なの便利すぎとかエビとっ捕まえて強制兵士化しないのかなんて事も気にはなるけどまあ、便利液って事にしとこう。それらを欠点とするには欠点と呼ぶには他が面白すぎる。スッキリとか差別観とか余韻とか諸々がいい感じで観賞後の頭を回っている。おもしろかったわい。


あとはマクファーレン辺りからエビパワードスーツのフィギュアが出るのを待つだけだ。マクロス風ミサイル掃射パーツも付けて。出るのかそんなもん?